NHKの首都圏ネットワークに出演しました ~新型コロナウイルス終息後の新しい生活様式について『3つの提案』~
NHKの首都圏ネットワークで、新型コロナウイルス終息後の新しい生活様式について、障害のある人たちが戸惑いを感じていることが取り上げられました。
その中で、視覚障害者の方々が「どのようなことに困っているか」「生活上で感じる不便さ」等についてお話しさせていただきました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、視覚障害者の方々の生活は一変しました。
視覚障害者の方々が、今、どのようなことに困っているかを多くの方に知っていただきたい。
そのような想いから、新型コロナウイルス終息後の新しい生活様式について『3つの提案』をしました。
1 触れることは情報把握の手段
視覚障害者にとって、目の前にあるものや、自分のいる場所を確認するために重要なのは物に触ることです。
例えば、エレベーターの行先階ボタンの横に貼ってある点字に触れたり、自分の座る席や机を触って確認したりします。
新型コロナウイルス感染予防のために「なるべく触らないで下さい」と言われていますが、点字は触らないとどうしても読めません。
公共の場所では物に触ることで、自分がウイルスに感染したり、誰かにうつしてしまったりするリスクを高めているのではないかと戸惑いを感じるようになりました。
しかし、触れることを控えることで、視覚障害者の方々にとっては重要な情報を得る機会が失われてしまいます。
触れることは情報を把握するための大切な手段だと知ってほしいです。
2 距離や注意書きを声で伝えて
スーパーのレジに並ぶときに馴染みとなった人との間隔を保つための「しるし」があります。
以前は、前に並んでいる人の気配や前に進む足音などで、レジに進むことができましたが、床に貼られたしるしだけでは、案内がなければどこで止まればいいのか分かりません。
また、今は、人に声をかけたり人に近づくこと自体がとても怖いこと、いけないこと、という感覚が広まっていますので、最近は本当に歩いていても誰も声をかけてくださらない、そんな気がします。
ですので、やっぱり外を歩くのが不安になりました。
また、視覚障害者の方の外出の支援をする同行援護という障害福祉サービスがあるのですが、新型コロナウイスによって、視覚障害者自身も、同行してくれるヘルパーさんも、感染することが怖くて、外出できない、業務に従事できない、という問題も起きています。
街で、視覚障害者の人と出会った時には、声をかけてください。そして、声で伝えていただきたいです。
3 助成金の申請方法に配慮を
多くの視覚障害者は、あはき業(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう)に従事していますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、収入が減少して仕事を失いかねない状況となっています。
しかし、各種支援策(特別定額給付金、持続化給付金、生活福祉資金貸付制度等)について、視覚障害者の方々から、情報入手ができない、申請が難しいといった相談が数多く寄せられています。
インターネットから申請をしたり、多種類の書類を集めたりなど、視覚障害者が1人で対応することは難しく、申請作業には様々な支援が必要となります。
各種支援策の申請は、生活に直結するため、確実に申し込みができるように、申請を行う視覚障害者への公的支援や窓口での柔軟な対応、要件の緩和が必要だと思います。
コロナの前よりも、より住みやすい社会にするためにはどうすればいいのかを考えると、みんなが住みやすい社会を作っていくヒントが、今分かりやすい形で出ていると思います。
それは決して障害者のためではなくて、高齢者、外国人など様々な存在、多様な存在にとって生きやすい社会はどういうものかを考えることにつながります。
生活様式に変化が求められている今だからこそ、これまでに見落とされてきた様々な視点を生活の中に取り入れるチャンスでもあります。
まだまだ先行き不透明ではありますが、「新たな生活様式」を楽しんでいきたい、と私は考えています。